要領が悪い人とはたらく

要領が悪いということ

要領が悪いということはどういうことだろうか.一般に要領が悪いというのは他人に対する主観的な評価であるが,要領が悪いと感じる人はだいたい誰から見ても要領が悪い.これは要領が悪いとうことに対してある程度明確な基準が存在するからではないかと思う.最近,バイト先で100人の人に聞いたら99人は要領が悪いというに違いない人(残りの一人は本人)と仕事をしているので,要領が悪いということをよく考えさせられる.要領が悪いということを知るのは,今後彼と,あるいは別の要領が悪い人間と仕事をしていくのを助けてくれる.

要領が悪い人の基準

要領が悪い人,と聞くとどのような特徴を持った人間を思い浮かべるだろうか.単にいつまで経っても仕事ができない人,仕事を覚えるのが遅い人のことをこういうことが多いように思う.この根っこにはどのような原因があるだろうか.1年半に渡る観察活動の結果,要領が悪いと言われるような人には次のような特徴があると思われる.

  • 優先順位をつけることができない
    • 何事もディティールから入る
    • 引いた視点で全体の流れを把握することができない
    • 状況に則した判断を下す能力に乏しい
      • 故にすべての仕事はパターン化される
      • パターンから外れると何もできない
      • 優先順位がいつものパターンから変わるとわけのわからない行動を取る
  • 自分自身の能力が正しく理解できていない
    • 自分が何をすれば全体の効率が上がるのかわからない

要領が悪いと言われる所以は上に上げた点に起因するように思う.要領が悪い人間は(少なくとも仕事全体をモジュールの組みたてであるとするならば)一つ一つの仕事ができないわけではない.ただ,その組み立て方が理解できないし,考えることもできない.すべての仕事の部品はパターンとして理解できているのにその部品の使い方がわからないから仕事ができていないように見えるのだ.

要領が悪い人とはたらく

先に述べた特徴を元にどうすれば要領が悪い人と要領よく仕事ができるのか考えてみよう.私がこの一年半で編み出すことが出きた要領が悪い人とストレスなく仕事する方法はただひとつである.

その都度すべての事柄に対してこまめかつ丁寧に指示を出す

実に面倒くさい方法だと思うかもしれないが,要領が悪い人間には基本的にその根本を改善することはできない.前項でのべた特徴がお前のできないことだ,と諭してやっても,理解してもらえないだろうし,理解したとしても生まれてから今までの生き方がそう簡単に変わるわけがないのと同じように,簡単に仕事の仕方,物事の考え方を変えることはできない.

改善が望めないことに労力を割くよりは対症療法でもマニュアルチックに一から十まで手伝ってやることである.そうすればより多くのパターンがその人の中にだんだんと作られていって.最終的にはよくある通常的な業務パターンであればそつなくこなせるようになるだろう.先ほどの部品の例でたとえるならば,彼が(あるいは彼女が),持っている部品を組み立ててより大きな部品を作り,その部品の使い方を覚えるのを手助けしてやるということだ.彼らは,部品の使い方はわかるが組み立て方がわからないのである.できないことはできる人がやればいい.そうして普段のルーチンワークが大きな部品として組み上がれば多少は使いモノになるだろう.

何かイレギュラーが起こった場合は,また指示を出してやればよいのである.